社会人向け公務員試験で実施される論文・作文試験。
配点のウエイトは一般的には大きくなく、対策も後回しにされがちです。
しかし、論文・作文試験の点数のわずかな差が合否を決めたりすることが試験ではよくあることです。
論文と作文って言葉が違うだけ?それとも内容も違うのかな?
論文試験と作文試験は内容が大きく異なります。自分の試験がどちらかはしっかり確認しましょう。

●元行政経験者で、人事・採用関係などとの親交もあり。
●公務員を目指す社会人に有益な情報を提供するべく、2021年3月にブログを開始しました。(守秘義務に影響しない範囲で書いていきます。)
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(合格戦略と今回の記事の関係)
論作文試験はどのようなものか
論文試験と作文試験の違いとは
まず、論文試験と作文試験の違いは何かを整理します。
根拠や客観的な事実などを基にして課題の答えを書くもの
自分の体験や感想を書くのもの
というのが一般的な定義になります。
どのような基準で採点されるか
論文試験・作文試験では、どのような点を評価されるのか。
論文試験・作文試験に共通する形式面の要素として、次の点が考えられます。
【形式面の評価要素】
・論理展開が優れているか。
・文章構成が適切か。
・誤字脱字がないか。(多くないか)
・分量が十分であるか。
これに加えて、内容面の要素が評価されます。
論作文試験共通の形式面の対策
まずは形式を最低限整える
論文試験・作文試験とも、まず、最低限の形式対策の必要があります。
その対策は、市販の公務員試験用の対策本で十分対応できます。
(次の参考書も参考になります。)
論文試験対策
重要なのは形式よりも内容
さきほど、形式対策は「最低限」と書きましたが、重要なのは内容対策です。
体裁は、対策本を読んでも補えますが、内容対策は他の受験者との差別化を図るために独自の整理が必要があります。
論文試験の内容対策は、面接や入庁後にも役立つ
論文試験の内容で差別化を図る場合には、独自に、受験する団体などの課題をしっかりと把握し、自分の考えをまとめる作業が必要です。
都道府県の例を説明します。
都道府県であれば、一般的に総合計画と言われている中長期の計画があります。
ここに都道府県の課題や重点的に取り組んでいることは、おおむね書いてあります。
(これらの計画は、団体の企画部門がとりまとめていることが多く、ホームページを見れば載っています。)
このブログでおすすめする論文試験の内容対策は、
「現在直面している行政課題一個一個に対して、自分なりの考えをしっかりと一度整理しておくこと」です。
そんなに整理しないといけないの?本当に役に立つのかなぁ。
なかなか大変な作業ではありますが、合格するためにはそのくらいしないとダメだと思ってください。
ポイントは、「自分なりの考え」というところです。
この作業を、おすすめする理由は、2つあります。
理由1:どんなテーマにもある程度対応できるようになる
理由の1つめは、その対策をしておけば、論文試験のどんなテーマが来ても、ほぼ対応できるようになることです。
論文試験で一番怖いのは筆が止まる(全く書けない)ことです。
これを防ぐことができれば、心の余裕になることでしょう。
論文試験のテーマは、大抵、その団体の課題に関するテーマが採用されることが多いでしょう。
仮に、そうでなくても、行政が抱える「社会課題」は大きくは変わりませんので、事前に整理したものに必ずリンクします。
それらをうまく繋げて、用意したことを書くことができるため、試験課題に対して筆が止まるということは起こりません。
オススメ理由2:面接試験対策にもなり、入庁後にも役立つ
2つめは、この過程で得たものが、面接対策としても使えるということです。
まず、受験先の団体の課題を知ることで、志望動機を高めることにもつながってくるので、それを面接に活かせます。入庁してから取り組んでみたい課題など具体的なイメージもできるでしょう。
また、面接で団体の課題など難しい質問や集団討論などがあっても、論文対策で吸収したものがあればそのまま対応できます。
以上の理由から、論文試験の内容対策のメリットは大きいと考えます。
面倒な作業かもしれませんが、ぜひ地道に取り組んでいただきたいと思います。
急がば回れ、というわけね。早いうちから、また、教養試験対策の合間合間に、少しずつやっておくことにするわ。
きっとライバルとの大きな差になるはずです。
論文の展開の仕方
論文の構成は、絶対にこうしなければならないというものはありません。
参考書などを見ながら形を作っていただきたいと思いますが、読んでいてスムーズに流れることは必要です。
一例として、次のような構成が考えられます。
1 問題提起:テーマの現状、課題を説明する。
2 原因分析:課題の原因を分析する。
3 解決策の提示:「自分の考える」解決策を、その理由となる根拠とともに 提示する。
これ以外にも、結論を先に述べる、いわゆるPREP法などの形もあるでしょう。
ところで、こうした論文を、何のツールも頼りにできない中、短時間で書くためには、どうしたらよいでしょうか。
その場でゼロから構築するのは、いくら毎日新聞を読んで自信のある人でも難しいと思います。
何がそのテーマの課題なのかもそうですし、分析するためのデータ的なものも、試験会場で考えて浮かんでくるものではありません。
また、他の受験者と差別化を図るには、解決策の部分で、ちょっと視点を変えたオリジナルなものを用意することが大事ですが、そのためには、参考書を丸暗記するのではなく、時間をかけて、自分なりに考えなくてはいけません。
つまり、あらかじめ材料をたくさん準備しておくことが絶対条件となります。
その具体的な対策手順は、さきほど少し書いた団体の総合計画などを活用した対策です。
次の記事へと進んでください。
⇒論文試験対策はこちら
作文試験対策
作文試験対策は面接対策の延長で
論文試験が「根拠や客観的な事実などを基にして課題の答えを書くもの」に対し、
作文試験は「自分の体験や感想を書くのもの」です。
論文試験は事前の準備がかなり必要ですが、作文試験は体験や感想を書けばいいので準備は少なくて済みます。
ただし、作文試験は何でも書いていいというわけではなく、「体験と感想」は、面接試験対策の「行動事例」と「志望動機」の要素が必要となります。
作文試験の準備1(体験談の整理)
体験談については面接試験の「コンピテンシー面接」の考え方と同じです。
入庁後に求められる「コンピテンシー」を把握して、それを意識した体験談を選んで書くことが重要です。(作り話はいけません。)
「コンピテンシー面接」については、次の記事に書いていますので参考にしていただき、求められる要素ごとの体験談を整理しておきましょう。
作文試験の準備2(「考え」の整理)
もう一つの「考え」ですが、「決意」や「志」につながる設問が多いと思います。
これは面接試験の「志望動機」と重なりますので、自分が公務員になぜなりたいのか、何をしたいのかということをじっくりと時間をかけて考え、整理しておきましょう。