バブル崩壊の影響で就職難となった「就職氷河期世代」を対象とした国家公務員統一採用試験も、当初予定していた3年が終わりました。
2022年は160人が合格し、3年間の合計は目標の450人を112人上回る562人の合格者となったようです。
過去3年の受験でチャレンジされ、厳しい結果に涙をのんだという方もおられると思いますが、まだチャンスはあります。
正式な実施計画は出ていませんが、全体として就職氷河期世代の支援がまだ十分に進んでいないことから、この試験が2年延長される方針が決まっています。
そんな中、巷では、この就職氷河期世代対象の試験について、
・「合格できるのは、就職氷河期世代の中でも職歴・経歴のしっかりした上位の人(勝ち組)だけ。」
・「面接で経歴を聞かれるから、非正規という職歴では、結局合格できない。」
という声も聞かれますが、はたしてそうでしょうか。
氷河期世代の公務員試験を、経歴の乏しさを理由に諦める必要はありません。
今回は、その理由を書いていきます。

●元行政経験者で、人事・採用関係などとの親交もあり。
●公務員を目指す社会人に有益な情報を提供するべく、2021年3月にブログを開始しました。(守秘義務に影響しない範囲で書いていきます。)
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氷河期世代の公務員試験を、経歴の乏しさを理由に諦める必要はない理由
「経歴が乏しい」からといって諦める必要はない理由は、3つあります。
理由1:就職氷河期世代対象試験の趣旨
1つ目は、就職氷河期世代対象試験を、社会人経験者試験と分けている時点で、「経歴」偏重の評価をする趣旨のものではないということです。
(ここでいう経歴は、どんな仕事や経験をしてきたかという表面上のものを指します。)
そもそも、受験資格に、雇用状況を勘案している(正規社員を除外している)ところもあるくらいですので、面接においても、表面上の経歴や経験だけをもって評価を高くすることは本来の趣旨ではないということは、受験実施側も理解しています。
理由2:面接で経歴・経験を問う意味
2つ目は、面接で問われる過去の「経験」について、評価されるものは経歴の大小ではないことです。
1つ目の理由と重なる話でもありますが、就職氷河期世代対象試験に関わらず、通常の社会人経験者試験でも、また大卒程度試験などでも、いわゆる経験を問う意図は、「コンピテンシー」を確認するためです。
コンピテンシーとは、「ある職務や役割において優秀な成果を発揮する行動特性」です。
過去の場面などで実際に取った行動を聞くことで、将来期待できる行動の再現性を評価する手法のものです。
ほとんどの面接試験では、この要素の質問がなされます。
大事なのは、コンピテンシーは、成果の「大小」よりも成果の「再現性」にあるということです。
成果の大小であれば、置かれた環境に左右されますので、例えば、非正規の仕事をずっと頑張っていてもその場面に出くわす機会に恵まれないということは、あるかもしれません。
しかし、成果の再現性であれば、例えば、非正規の仕事であっても、その仕事の工夫の仕方や、組織における関係性を、別の環境で再現できるかどうかの評価は十分に可能となります。
理由3:面接でアピールできるものは経歴以外にもある
3つ目は、面接でアピールできるものは経歴以外にもあるという点です。
面接試験では経歴に基づく経験の質問はもちろんされますが、そこで差をつける自信がない場合も、面接官にアピールできる要素が他にあります。
それは、最近の行政機関に最も求められているスキルを持っている(又は勉強している)ことをアピールすることです。
現在の行政に最も求められているものは、「情報に関するスキル」でしょう。
民間企業でも「リスキリング」がさかんに叫ばれています。
情報系スキルを持っている(又は勉強している)と話せれば、ライバルとの微妙な差から、一気に「違い」を印象づけることになるはずです。
【面接での加点要素としてオススメ】
(おすすめの情報系スキル)
●行政職場ならITパスポートを持っていれば十分歓迎される
●時間的余裕があれば、基本情報技術者試験にチャレンジしたい
●AI資格はコスト面と相談しながらになるが、取り組めれば貴重
なお、ITパスポートはCBT方式により全国の試験会場で随時実施しているため、自分のタイミングで試験を受けることができます。これは、ぜひ取っておきたいですね!
以上が、就職氷河期世代の公務員試験を「経歴が乏しいから諦める」のは間違っている理由になります。
年々、1次試験(教養試験)の難易度も下がってきているようです。
特に、何度か受験した方は、これまで頑張ってきた分を無にしないよう、もうひと踏ん張りです!
これまでの対策ではどうもうまくいかないという方は、次に書く公務員試験対策の方法を参考にしてみてください。
◆公務員試験対策
社会人向け公務員試験の流れ
社会人向け公務員試験の一般的な流れは、次のようになっています。
試験全体を通して、最終的には面接試験が最も重要ですが、教養試験をクリアしないと次に進めない仕組みとなっているところが特徴です。
試験の多さや倍率などを見て「これは厳しい、やめておこう」と思った方も多いかもしれません。
しかし、受験する人の全員がものすごく対策をしてきているわけではありません。
誰でも申し込んで受験できる試験ですので、様々な受験者がいて、この倍率です。
ノー勉で挑もうという人も一定割合いますが合格確率はほぼゼロですので、その分、倍率は下がると考えることはできます。
また、「闇雲に教養試験の勉強ばかりしている」、「大手予備校任せで勉強している」といった人がほとんどですが、それぞれ弱みを抱えています。
こうした層より前に出るには、差別化を図る戦略を持てるかどうかです。
戦略に沿った対策を進めることができれば、合格がグッと近づくはずです。
そこで、ぜひ取り組んでいただきたい合格戦略を考えました。
第一関門の教養試験対策で息切れしないように、全体の対策を早い段階から考えておくことが大事です。
合格をめざすなら、この合格戦略に取り組んでみてください。
再挑戦をめざす人へ
過去に受験をした人も、この合格戦略を生かせば、再受験において合格への道は開けてくるはずです。
パターンによって、特に生かすべき合格戦略を整理していますので、参考に進めてください。
忙しい社会人には、通信講座スタディングを使った勉強法をおすすめします。
最先端のAIを使った問題復習機能で、自動的に苦手な分野をサポートしてくれます。
【参考】
さらに、2023年度試験向けから、
「面接対策などをもっとサポートしてもらいたい」という方にはこのコースもおすすめです。
試験対策スケジュール
社会人公務員試験の試験スケジュールと対策期間の目安を、整理しています。
対策スタートは半年前を目安としつつも、早ければ早いに越したことはありません。
目標とする試験までの時間を確認して、早速、取りかかりましょう。
■試験対策スケジュール
●2023年春シーズン試験目標の方
→対策を始めるべき時期が過ぎています。
対策を急ぎましょう。
●2023年秋シーズン試験目標の方
→対策を始めるべき時期までまだありますが、
今から始めればアドバンテージになります。
また、この時期をスキルアップに充てても有効です。
(試験シーズンの確認はこちら)