警察官試験の最大の関門も、他の公務員試験同様やはり「面接試験」です。
試験の得点ウエイトもおおむね次の例のように最も高くなっています。
今回は、面接試験の評価視点を知った上で、想定質問により対策を練っていきます。
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(警察官試験対策)
警察官採用試験の面接試験の評価視点
評価項目は他の公務員試験と大きく変わらない
警察官採用試験の面接試験は、他の公務員試験とは違うのか。
もちろん、求める人材像が異なるため、最終的な評価のウエイトは異なります。
ただし、面接全般が全く特殊、異質な内容かというと、そうではありません。
警察でも、厚生労働省の「公正な採用選考の基本」に沿って行う必要があります。
出生地や家族など「本人に責任のない事項」の把握や宗教や思想など「本来自由であるべき事項」についての質問は、就職差別につながるため、採用面接において認められていません。
(参考)公正な採用選考の基本|厚生労働省
よく身辺調査がどうこうと聞くけど、親の仕事とか面接で聞かれることはないのかな?
就職差別につながる内容は面接試験で聞くことは認められていないので、当然、そのような質問はありません。(万が一あれば通報してください。)
ということで、面接の形式や面接の評価項目それ自体については、他の公務員試験と大きく変わらないと考えていいと思います。
面接の評価項目は、一般的に次のような項目になります。
(面接の一般的な評価項目)※団体によって異なります。
・責任感・使命感
「誠実な対応、行動への責任、公務への使命感、堅実さ」といった点を評価されます。「正義感」もこれに通じます。
・積極性・主体性
前向きにチャレンジするか、考えを自ら出し行動を起こすか、といった点を評価されます。行動力や達成力とも類似する視点です。
・社会性
「組織の中で円滑な関係が構築できるか、住民に対し丁寧な対応ができるか」といった視点を評価されます。
・思考力
「創造性、分析力、論理性」といった点を評価されます。
教養試験でいい点を取ることとは違う頭の使い方ができるか、特に、答えのない新たな課題に対応する力を持ち合わせていることが求められます。
・コミュニケーション力
面接全般を通してコミュニケーションの能力を評価されます。
評価の仕方、ウエイトは他の公務員試験とは異なる
このように、評価項目は一般的なものを用いられる場合が多いと思われますが、最初に書いたように、それをどう評価するか、どこに重きを置くかという点は、他の公務員試験と全く同じではないでしょう。
評価基準を開示してはいませんので、明確なことはわかりませんが、「警察官」に求められるものは、何よりも正義感・使命感であるはずです。
これが欠けていれば、即アウトと言ってもいいかもしれません。
かといって他の項目も、必要なものばかりで、軽視できるものではありません。
積極性、社会性、思考力、コミュニケーション力は、結束が求められる組織の組織人として、また住民と接する機会が多い公務員として、いずれも不可欠なものです。
したがって、これらの評価項目がいずれも大事であることは、他の公務員試験と変わらないでしょう。
しかし、評価の仕方は、他の公務員試験とは少々異なるかもしれません。
例えば、一般行政などの公務員であれば、少々尖っているくらいの人材が面白いと思われることもあるかもしれません。
評価項目で言えば、「社会性」はやや劣るが、アイデアが型破りで「思考力」が非常に高い受験者がいた場合、一般行政の場合、組織にいい影響を与えることを期待して採用してみようというような判断はありえます。
一方、警察組織においては、そういった人材のリスクの方を重視して、より安定感のある人材を評価する傾向があります。警察組織の特性上、やむをえないところでしょう。
面接はどんな質問がされるのか
質問は一問一答と過去の深堀り
面接試験は、一問一答的な質問が一般的ですが、これと併せて、過去の経験などについて深堀りする質問も多くあります。
これらの質問から、さきほどの評価項目に結びつけて、評価をしていくことになります。
いわゆる圧迫面接みたいのはないのかしら?
圧迫面接もさきほどの「公正な採用選考の基本」には反するものです。警察官が面接官をやっている場合、無意識に地が出てしまってそう見えることはあるかもしれませんが(苦笑)、圧迫しようという意図を持って行われることは、あってはいけません。
面接対策
一問一答式の質問は、参考書などの想定質問を参考に、あらかじめ答えることを準備してしっかり答えるという対策が必要となります。
志望動機などはそれに当たりますが、自分が考えていること、気持ちをしっかり伝えるためにも、頭の中を整理しておくことは重要です。
過去の経験などを深堀りされる質問は、ウソをつくわけにはいきませんので、落ち着いて、過去を思い出しながら答えることになります。
これは「コンピテンシー面接」といって、過去の行動から、将来の行動を予測するという目的での質問ですので、それを意識して答えることは必要です。
そのためには、過去の行動をしっかり振り返って、自分の良かった行動、反省が残った行動を頭の中で整理しておくことが必要です。
面接想定質問
面接想定01 今日は何時に起きて会場までどうやってきましたか?
面接想定01 今日は何時に起きて会場までどうやってきましたか?
今日は何時に起きて会場までどうやってきましたか?
朝6時に起きて、電車とバスで会場まで来ました。集合時刻の9時に遅れることのないよう早めに出発したところ、集合時刻までだいぶ時間がありましたので、会場近くのカフェで、最終の面接準備をしていました。
解説
この質問は、受験者の緊張を解きほぐす目的の冒頭のアイスブレイクです。
面接官側も深い意図はなく、ありのまま答えればよいと思います。
ただし、こうした質問から、ギリギリの時間で生活をしていたりするような社会人として問題のある面を露呈しまうと、「危機管理能力がないのではないか」と思われ、その後の質問にも悪影響を与えかねません。
面接対策というよりも、日ごろから警察官としてふさわしい生活態度を身に付けていきましょう。
(今回の質問での評価視点)
アイスブレイクの質問のため、ここでの評価はありません。リラックスして面接を進めていきましょう。
面接想定02 体力試験はきつかったですか?
体力試験はきつかったですか?
きついというほどではなかったですが、楽々という感じでもありませんでした。その反省のもとに、今も毎日走っていますので、だいぶ体力はついてきたと感じています。
わかりました。しっかりトレーニングを続けてくださいね。
解説
この質問は、警察官として必要な基礎体力に関する質問ですが、その意図は、早期退職防止の目的も含まれています。
警察官は、採用されて警察学校に入校し、体力づくりや訓練も課されます。
警察庁のホームページには、「私は学生時代に運動をしていませんでした。警察学校での訓練についていけるか不安です。」という問いに対し、「警察学校では、運動の未経験者でも現場で活躍できるよう、体力づくりや訓練を行いますので、心配はいりません。」と書いてあるように、体力試験の基準を通過していれば、問題はありません。
しかし、「体力試験の基準ぎりぎりを精いっぱいで通過したのに、それ以上の向上は不要」と誤解している受験者がいれば、警察学校でついていけず、離脱することになるでしょう。
実際に、警察学校で離脱する人も一定の割合で存在します。
もちろん、警察官としての明らかに素養のない人はふるいにかけるというのも警察学校の役割としてあると思いますが、採用者数に限りがある以上、退職率が高くなるのは望ましくありません。
そこで、受験者に、その当たりの認識の違いがないかを面接で確認する意図の質問になります。
(今回の質問での評価視点)
早期退職防止のための確認の質問です。
面接想定03 志望動機を教えてください。
警察官を志望する動機を教えてください。
さかのぼりますが、中学生の頃に近所に不審者が出たことがあり、警察官の方が対応してくださった結果、解決しました。その時、警察官の存在に安心でき、それ以来、自分の中でも、「人々を守る仕事につきたい」と思うようになっていきました。それから、いったん民間の警備会社に就職しましたが、やはり「自ら警察官になって人々の安全を守りたい」という気持ちが強く、警察官の仕事についても入念に調べた上で覚悟を持って、このたび受験しました。
解説
この質問は、警察官に限らず、全ての就職面接試験で最も重要な質問である「志望動機」に関する質問です。
面接官としては、単なる就職先の一つとしてだけでなく、「本当に志をもって仕事をしていってくれるのか」ということが知りたいところです。
ましてや、警察官であれば、その使命感たるものが、最も優先されるものですから、なおさら重要な質問となってきます。
一つ注意していただきたいのは、回答例でも触れてはいますが、過去の警察官とのエピソードです。
一般的に「自分の生活の中での過去の警察に関するエピソードなどを交えながら答えよう」というアドバイスなどもありますが、そのような型にはめる必要はありません。
警察官との私生活でのかかわりが志望のきっかけになるケースは、まれなものではないでしょうか。無ければ無しで問題ありません。
むしろ、例えば「幼稚園の頃に・・・」、「小学生時代に・・・」という、幼少期のエピソードそれだけをもって志望動機とすることは危険を伴うと考えます。
子供の頃の純粋な動機は一見聞こえは良いですが、大学生や高校生など、これから社会に出ていくのに、そのような狭い視野だけで物事を判断しているのだとすると、大丈夫でしょうか?
面接官も、不安の方を強く感じるはずです。
結果として、理想と現実が異なって、「こんなはずではなかった」と、警察学校で辞めていく恐れも増すため、そもそも採用すること(合格させること)を躊躇する要因にもなりかねません。
ですから、私生活でのエピソードは「きっかけ」として大事なものではありますが、それよりも、警察官という仕事の現実を知った上でそれでも志したい、ということを伝えることの方が大事です。
( 今回の質問での評価視点)
使命感を中心とした質問になります。
面接想定04 部活動ではどのような役割を果たしましたか?
過去、部活動ではどのような役割を果たしましたか?
大学では野球部に所属しました。レギュラーにはなれませんでしたが、控えの捕手として役割を全うし、3年生では副キャプテンを任されました。
副キャプテンで苦労したことは何ですか?
副キャプテンはキャプテンをサポートするのが仕事です。キャプテンとしっかりコミュニケーションを取って考えを把握し、そのキャプテンの考えを、なかなかキャプテンと話せない控えの選手にも理解してもらうよう、丁寧に説明していく役割を果たしました。
解説
この質問は、いわゆる「コンピテンシー」に関する質問です。
コンピテンシーとは、「高い成果につながる行動特性」のことですが、過去の取組を細かく質問することで、その中から、その人の行動特性を確認しようとするものです。
この場合も、「部活動の役割」という質問を聞き、その答えから、さらに詳しく質問を展開しています。
こうした型の質問では、単に「事実」を聞いているため、即座に応えなければならず、どういう答えが良い答えなのだろうというのを咄嗟に考えることはできません。つまり、ウソをつくことはできないわけです。
今回の質問では、「副キャプテン」をやったという単なる肩書ではなく、「副キャプテン」として何をやったか、どのような苦労をしたか深堀りされています。
警察という大きな組織の中で仕事をしていくためには、「チームワーク」を保つ行動というのは必ず必要になります。
こうした質問に対応していくには、まず、日ごろから、様々なことを考えて行動するようにならなければ始まりません。
そして、面接の準備として、これまでの自分の行動を振り返り、整理をしておくことです。
良い部分を中心に、もし反省すべき部分があれば、それも反省すべき点として、しっかり話せるようにしておきましょう。
( 今回の質問での評価視点 )
積極性、社会性、コミュニケーション力などに関係する質問になります。
面接想定05 今回の試験が不合格だった場合どうしますか?
今回の試験が不合格だった場合どうしますか?
警察官は単なる就職先としてではなく、自分の一生の職業として考えています。このため、不合格だった場合は、何がいけなかったかをしっかりと振り返り、反省点を克服した上で、再度チャレンジをさせていただきたいと考えます。
解説
この質問は、志望動機の本気度を確認するための質問です。
「不合格」と聞くと一瞬ドキッとしますが、当然、面接の最中に合格・不合格が決まっているわけではありませんので、全ての人に対して仮定で聞いているので心配は要りません。
様々な事情はあると思いますが、やはり警察官としての人生を選択するというのは、それなりの覚悟が必要だと思います。
そうした場合、どうしても再受験できないという事情がある場合を除いては、回答例のような答えが自然に感じられます。
実際、再チャレンジで合格した例も少なくないため、簡単に諦めず、その志を大事にしていただきたいと思います。
( 今回の質問での評価視点)
使命感に関する質問になります。
面接試験対策におすすめの参考書
◆実務教育出版「元警察官が教える!ホントの警察官面接対策」★★★★☆
◆佐々木丈裕「マンガでわかる 警察官採用試験 面接試験攻略法」★★★★☆
過去に行政機関で勤務。自ら収集した情報や公務員の知人からの情報(マル秘情報なし)を整理して、ブログでわかりやすく発信します。
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