民間企業等から公務員への転職では、様々な職業、職種出身の人がいます。
この中には、SEなどIT系職種出身の人も増えてきています。
SEからの転職の理由は、「SEは仕事がしんどい」というのがやはり正直なところなのではないでしょうか。
これに、「地元に帰りたい」、「行政で貢献したい」といった動機が重なって、転職を決意することと思います。
一方で、SEが公務員に転職して果たして適応できる場所はあるのか?と、
心配な部分もあるでしょう。
そこで、今回は、情報系職種から公務員への転職について書いていきます。
- 情報系職種から公務員への転職 3つの道
- 公務員試験はどのように進むのか
- SEなど情報系職種から公務員になるための方策
- 公務員になる前にさらなるスキルアップもおすすめ
- 情報系に有利な状況を生かして合格を勝ち取りましょう
情報系職種から公務員への転職 3つの道
SEなどIT系職種から公務員に転職する場合、転職後どんな道になるのか?
次の3つの道があります。
1.情報職として採用される道
今、国ではデジタル庁の新設、地方もDXが加速するなど、行政部門もデジタル人材へのニーズが高まっており、IT人材不足は顕著となっています。
こうした中、国ではデジタル区分の試験が実施され、地方でもICT職種の募集が見られるようになってきました。
(2022年度のICT職種の主な試験状況)
団体名 | 試験名称 | 職種 | 採用予定者数 | 1次試験日程 | 試験内容 |
東京都 | キャリア活用採用選考 | ICT | 20人 | 8/14 | 1次:エントリーシート、教養試験、論文、専門試験(免除アリ) 2次:口述試験(オンライン) 3次:口述試験(対面) |
愛知県 | 民間企業等職務経験者 | ICT | 若干名 | 9/18 | 1次:教養試験、論文試験 2次:口述試験、適性検査 |
千葉市 | 民間企業等職務経験者 | 情報 | 若干名 | 9/25 | 1次:教養試験、経験論文試験 2次:適性検査、アピールシート、面接試験 |
横浜市 | 社会人採用試験 | デジタル | 5人 | 9/25 | 1次:教養試験、論文試験 2次:面接試験 |
SEとして培った知識をフルに生かすのであれば、
「デジタル職」、「ICT職」・・・
などの区分で募集している試験を受験することが、最も近道になります。
試験は、最低限の「教養試験」対策は要るものの、「専門試験」は情報に関する内容のため、対策に多くの時間を要することはないと思います。
競争倍率も、通常の行政の試験に比べれば、かなり低くなるはずです。
難点なのは、全国どこの自治体でも募集しているわけではないので、「地元に帰りたい」というニーズには十分対応できていないことです。
2.行政職で採用されて積極的に情報人材として活躍する道
行政職であれば、全国のほとんどの団体で社会人向けの試験を実施しています。
行政職ですから、他の受験者と同じ土俵で受験することが必要となります。
教養試験対策には一定の対策が必要でしょう。
一方、面接試験まで進むことができれば、やや有利に運べることができると考えます。
もちろん公務員として基本的な要素を欠いていれば不合格ですが、
情報知識を持っていることは、他の受験者より「採りたい」という要素になります。
この「行政職」というのは、幅広い分野の仕事をする職です。
ただ、現在は多くの団体が情報分野を強化しています。
どこも情報人材は少ないため、希望すれば結果として、情報の仕事に配置されるケースは高いと思います。
3.行政職として情報以外の仕事をする道
「せっかく転職するなら、新たな分野で仕事をしてみたい」という人も多いでしょう。
情報系の仕事に就くことを積極的にアピールしなくても、やはり情報知識を持っているだけで、面接試験では有利に運べると考えます。
行政のDXは、全ての分野で業務プロセスの見直しと情報化がセットになるため、情報知識を持っている人が、各部署に散らばっていることは理想的だからです。
公務員試験はどのように進むのか
社会人向け公務員試験の流れ
社会人向け公務員試験の一般的な流れは、次のようになっています。
試験全体を通して、最終的には面接試験が最も重要ですが、教養試験をクリアしないと次に進めない仕組みとなっているところが特徴です。
教養試験をクリアしても、面接試験で半数がふるい落とされるので結構シビアな試験になっています。
なお、給与面は決して高いとは言えないので、理解しておきましょう。
試験の多さや倍率などを見て「これは厳しい、やめておこう」と思った方も多いかもしれません。
しかし、受験する人の全員がものすごく対策をしてきているわけではありません。
誰でも申し込んで受験できる試験ですので、様々な受験者がいて、この倍率です。
ノー勉で挑もうという人も一定割合いますが合格確率はほぼゼロですので、その分、倍率は下がると考えることはできます。
また、「闇雲に教養試験の勉強ばかりしている」、「大手予備校任せで勉強している」といった人がほとんどですが、それぞれ弱みを抱えています。
こうした層より前に出るには、差別化を図る戦略を持てるかどうかです。
戦略に沿った対策を進めることができれば、合格がグッと近づくはずです。
そこで、ぜひ取り組んでいただきたい合格戦略を考えました。
第一関門の教養試験対策で息切れしないように、全体の対策を早い段階から考えておくことが大事です。
合格をめざすなら、この合格戦略に取り組んでみてください。
試験対策スケジュール
社会人公務員試験の試験スケジュールと対策期間の目安を、整理しています。
対策スタートは半年前を目安としつつも、早ければ早いに越したことはありません。
目標とする試験までの時間を確認して、早速、取りかかりましょう。
■試験対策スケジュール
●2023年春シーズン試験目標の方
→対策を始めるべき時期が過ぎています。
対策を急ぎましょう。
●2023年秋シーズン試験目標の方
→対策を始めるべき時期までまだありますが、
今から始めればアドバンテージになります。
また、この時期をスキルアップに充てても有効です。
(試験シーズンの確認はこちら)
公務員になる前にさらなるスキルアップもおすすめ
総務省の「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック」を見ると先行団体におけるAI導入も始まってきています。
アイデアとAIスキルを使って、社会課題を解決する。そんな風に世の中の役に立てるなら、やりがいは大きいですよね。
AIの知識習得など、さらなる「スキルアップ」をおすすめします。
特に、公務員になる前には、実質負担が50~70%オフになる「教育訓練給付金」を活用できます。
公務員になった後では給付金は活用できませんので、タイミングは重要です。
情報系に有利な状況を生かして合格を勝ち取りましょう
以上、情報系職種から公務員への転職について書いてきました。
社会的なニーズから、SEなど情報系職種の受験者は、面接試験まで進めば他の受験者より「やや有利」な状況になっていると考えます。
しっかりと対策を打てば、最終合格にたどり着けるでしょう。
採用後は、各方面から「頼られる存在」となることは間違いありません。
ぜひ、その知識を生かして社会課題を解決する画期的な仕組みを構築してください。